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新たな一歩を踏み出す。代表の宇佐美に聞く「VOYAGE×CCI」の経営統合

ネット広告領域での垂直統合と、それぞれの事業領域での連携を意識して成長していく

2018年10月31日、VOYAGE GROUPとCCIの経営統合が発表され、2019年1月1日、両社純粋持株会社として「株式会社CARTA HOLDINGS」が発足しました。今回はそんな経営統合に関して、どのような背景・目的があり、今後事業や会社はどのように成長していくのか、気になる点をCEOである宇佐美本人に答えてもらいました。

宇佐美 進典

Shinsuke Usami

代表取締役社長兼CEO

早稲田大学卒業後、トーマツコンサルティング(現デロイトトーマツコンサルティング)などを経て、1999年にアクシブドットコム(現・VOYAGE GROUP)を創業。2005年〜2010年までサイバーエージェントの取締役も兼務し、メディア部門副統括・技術部門担当役員としてアメーバの成長等に携わり幅広く経営の実務を経験する。2010年からはVOYAGE GROUPの成長にフルコミットし、2014年東証マザーズ上場、2015年東証一部上場。直近ではCCIとの経営統合により発足したCARTA HOLDINGSの代表取締役会長に就任。

ーーCCIとの経営統合の話はいつ頃から出ていましたか?

宇佐美 : 2017年の夏頃に証券会社経由でCFOの永岡と電通とでディスカッションしたのが最初だと思います。その11月に私も電通の方と初めてお会いしたのですが、まだ経営統合の話は出ておらず、食事しながらざっくばらんな形でVOYAGE GROUP(※以降「VOYAGE」)がカルチャーを大事にした会社で、アドプラットフォーム事業ではパフォーマンス領域のところで垂直統合をやって伸ばそうとしているという話をしました。その上で、マス領域のところもやっていきたいと思っているのだけれどそういう可能性って実際どうなのでしょうかね、と。それからもう一度12月に食事に行って話が本格的に進んでいきました。

ーー業務提携等いくつか方法があった中で、最終的に経営統合へと踏み込んだ理由を教えてください。

宇佐美 : 当初から業務提携や部分的な資本業務提携では意味がなく、やるのであればCCIと経営統合して一体的に経営していく必要があると思っていました。というのも、市場環境や競争環境は大きく変わってきており、これらの変化に対応しつつ、かつネット広告市場の新しい未来を切り拓いていくいくためには、両社を一体的に捉えて思い切った変革や取り組みが必要であると考えていたためです。

今回の経営統合によって、まず今までVOYAGE単体ではアプローチできなかったブランド広告主やプレミアムメディアへの顧客接点が増えたので、新しいプロダクト・サービスを企画したり、開発していく可能性が広がりました。これにより、今までパフォーマンス広告領域を中心に事業展開をしていましたが、インターネット広告領域全体をカバーできるようになりました。それだけでなく、インターネット広告以外のOOHやテレビといった既存メディアのデジタル化などの新しい領域においても事業機会の可能性が広がってきました。今後はこうした新領域にも取り組んでいきたいと思います。

ーー実際、すでにCCIと進行している事業はありますか?

宇佐美 : VOYAGEとCCIとで相互に顧客を紹介しあったり、クロスセルも徐々にではありますが進んできています。また、アドプラットフォーム事業においてはfluctやZucksなどのプロダクトにおいても連携が進んでおり、今後は共同での新プロダクトの開発なども進む予定です。そのほかにもまだあるのですが、実際CARTA HOLDINGS(※以降「CARTA」)全体で見ると、色々なところで連携が動き始めてるという状況ですね。今後実績が見えてくるともっと経営統合の実感を持てるようになるんじゃないかと思います。また、電通とは、元々CCIと電通とで取り組んでいた事業を引き続き継続していきます。それとは別に、CARTAとなったことでテレビやOOHのデジタル化など新しい領域についても協業の可能性について議論しています。

ーー社風が異なる2社の経営統合となりますが、組織面において今後どのように進めていく予定ですか?

宇佐美 : まずVOYAGEとCCIは当面は会社としては残していきます。その一方でお互いの良いところをお互いが取り入れながら、CARTAとしての組織の活性化や連携を図っていければと思っています。そのためにもCARTAとしてのグループ横断的な取り組みや若手の抜擢などには積極的に取り組んでいきたいと思っています。実際の交流のところで言うと、今はまだどうしてもプロジェクトや担当者ベースで関係する人同士が接点を持って……という風になっていますが、私が見えていないところでも色々と出てきてるようです。先週もVOYAGEのAJITO(※1)で開催した勉強会にCCIのメンバーも来てくれました。そんな感じで自然発生的に生まれていくベースができて、そこから業務にも繋がってというのが複層的にできてくるといいなあと思うので、このような交流はもっとやっていってほしいですね。

まずは私たちが彼らのアセットを理解し繋げていく

ーー電通はCARTAに対してどのような期待をしていますか?

宇佐美 : デジタル領域においてネット広告に限らず、テクノロジーを活用して色々とやっていって欲しいと思っているのではないかなと思います。まずはインターネット広告をより強化していきますが、デジタル化の流れはマス広告にも及んでいくので自分たちで可能性の幅を狭めることなく、もっと可能性を広げていきたいですね。

また、今後はCARTA側からもっと電通に仕掛けていくようにもしていきたいと思っています。そのためにも電通の歴史や事業環境、ケイパビリティ等のアセットをもっと理解しなければと思っています。それを理解してこそ、本当の意味で協業も進んでいくと思うので。そういう意味で私の役割としては、彼らが持っているアセットとCARTAが持っているアセットを繋げていくことだと考えています。

ーーVOYAGEは元々サイバーエージェントの子会社でしたが、CARTAになった今、関係性が気になります!

宇佐美 : 自分自身サイバーエージェントの取締役を5年間やっていましたし、藤田さん(※2)や他の役員の方はじめ多くの方に大変お世話になっていたので、リリース当日にいの一番で藤田さんに電話で今回の経営統合について経緯や今後について説明しました。とてもびっくりしていましたが、「今後はCCIにおいてAbemaの広告販売をもっと強化して欲しい」と言ってもらえました。引き続き、それぞれの事業や子会社を通じて取引は継続しており、今後も良い関係でいけたらと思っています。

ネット広告領域での垂直統合と、それぞれの事業領域での連携を意識していく

ーー今後どのように事業を成長させていく予定ですか?

宇佐美 : 成長に関しては3つの大きな方針を掲げました。1つは、既存事業での成長、2つ目がM&Aや投資での成長、そして3つ目が新しい領域での成長です。まず既存事業に関してですが、今回CARTAとなってパフォーマンス広告に限らずブランド広告含めてネット広告領域で垂直統合を進めていきます。今回事業セグメントの見直しを行いましたが、アドプラットフォーム事業、パートナーセールス事業、コンシューマー事業での連携を意識させつつ、それぞれでの成長戦略を推進していきます。

アドプラットフォーム事業の中にはfluctもあればZucksもありますし、CCI側のアドプラットフォーム関連のプロダクトも含まれます。アドプラットフォームと言っても実はすごく領域が広いので、この中でまた新しく生まれるものもあるかもしれません。一方で、コンシューマー事業はもっと領域が広くて、ここにはEC・ゲーム・サポーターズなどあらゆる事業が入っています。こういったそれぞれの子会社であったりサービスが、しっかりと自立した形で伸ばせていければと思っています。

また、今後はM&Aや投資についても成長戦略のひとつとして取り入れていくのは今までとはちょっと違うかもしれません。新領域については主にマス広告のデジタル化を想定していて、ここは時間もかかると思いますが次の柱となる大きな事業にしていきたいですね。

ーー宇佐美さん自身、今後VOYAGEの社長とCARTAの会長、どちらかに重きを置いていくのでしょうか?

宇佐美 : 当面はCARTAの会長としての業務が増えるのは間違いないです。CARTAがひとつの強い企業グループとして力強い成長を図っていくためにはやらなければいけないことがたくさんあるので。とはいえ、どこかのタイミングでVOYAGEのCEOのところは誰かに代わる形になるし、それはCARTAの会長もそうです。3年、5年の単位ではあまり考えてはないけれども、しっかりと後継者は育成していく必要があると思っています。

人・企業・社会それぞれにメリットを享受できる世界を

ーー中長期的に目指したい在り姿を教えてください。

宇佐美 : 1999年からインターネット業界で仕事をしてきて思うのは、やはりインターネットによって世の中がどんどん変わってきたということ。一方で、この変化はまだまだこれからが本番だと思っています。かつ、インターネットによる変化のメリットを全ての人が享受できているわけではなく、まだまだ偏在しているし課題や問題も多く発生しています。

今回、CARTAとなって今まで以上に広告主やメディアとの顧客接点が増えたことで、最近のトレンドや各個別企業の課題やニーズなど様々な情報がより入りやすくなりました。それによってCARTAとして果たせる役割も今まで以上に大きくなってきたと思っています。そしてCARTAにはこれらの課題やニーズを解決する力も、これを実際に届ける力も格段に大きくなりました。

特にネット広告の分野においては、広告主、メディア、生活者にとって新しいバランスを作っていく、そういう時代になってきています。CARTAとしてまずはネット広告分野での圧倒的な存在となり、業界を取り巻く様々な課題を解決し、新しい時代の新しい仕組みをつくっていく、そんな会社を目指していければと思っています。

※1:社内BAR
※2:サイバーエージェント 代表取締役社長 藤田晋氏

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